バイトテロを終わらすのはもっと悪いもの

ドミノピザでまたバイトテロ。鼻くそを生地につけるような仕草の動画をアップし大炎上。

これ自体はよくあるバイトテロなので、とくに語るべきものはないように思う。ただ、バイトテロが起こると企業自体を責める発言はあまり聞かれず、バイト個人へ「厳罰化しろ、死ぬほど賠償請求して見せしめにしろ」が多数派になる。それをやれば抑止力になって三方よしとなりそうなもんなのに、企業側は今一つ乗り気じゃない。なぜか。そこがバイトテロ問題のカギだと思う。

ドミノに限らないけど、飲食ビジネスの王道として「大規模にチェーン展開して、安いバイトを大量に使って、安くてそれなりのものを提供することで勝つ」ってのがある。当然「安く働くバイトをたくさん雇わなきゃいけない」わけで、そこがこのモデルの弱点。人手不足な中でバイトを集めたいから、あまり厳しく対応すると逃げられてしまう。だからやらかしたバイトに何億も賠償請求するとか、誓約書書かせるとかに及び腰なわけで、抑止力も期待できない。

また今回のドミノにしても、大型キャンペーンの頻発で現場が疲れていたタイミング。「とにかく人件費を安くする」で利益を出してるのはブラック企業と変わらないし、安い給料で働かされて人も足りない状況じゃそりゃストレスもMAXだ。構造を変えない限りやらかす人は後を絶たないだろう。

ところが世間は「オレが食べたかもしれないものに何してくれとんじゃ」とバイト個人にお怒り(もっともだが)なだけで、企業を責めたりこの構造の問題に目を向けない。というか、向けたくないのだろう。何のことはない、企業と同じで、客も安い労働力の成果に乗っかって安い外食がしたいだけなんだから。飲食チェーンが全部正社員だけにしたり、厨房に監視カメラつけたりすればコストは跳ね上がって値段に乗る。牛丼が400円で食べられなくなっては困るわけだ。

そもそも、SNSで可視化されただけで飲食店の見えない裏側なんて何してるかわからないもの。床に落としたエビフライを皿に戻して提供したりは大昔からずっとあっただろうし、店員が競馬で負けた日には八つ当たりで料理に鼻くそを入れてたかもしれない。バイトテロに激怒してる人って、実はこういう「不都合な真実」を突き付けられたことに怒ってるんだと思う。「目を背けてたのに、実は鼻くそ食べてるのかもってことを思い出させやがって」ってことだ。

飲食がバイトにどっぷり依存してる以上、正社員を増やすなんて方向には絶対行かないだろう。また、客は何だかんだ言っても安くてそれなりのものが出てくれば裏側は見ないフリをする。となると、バイトテロ対策ってけっきょく「スマホ持ち込み禁止」の徹底で終わるんじゃないかな。見えないようにフタをするだけだが、効果は多少あるだろうし。

いつかこの流れが変わるとしたら、鼻くそじゃなくて毒物を入れたりする系の事件が起きたときだろう。これじゃ客も見ないフリはできない。皮肉なことに、バイトテロ問題はそうなって初めてちょっと解決に向かうんじゃないかな。

ゆりやんはパントマイムの習得を

初代女王ゆりやん、女芸人大会「THE W2023」で初戦敗退

初代女王が初戦で消えるほど大会がレベルアップした…というわけでもなく、いつも通り低空飛行な感じだったと思う。とはいえこれは仕方ない。将棋の女流と同じで、わざわざ「女性」に限定している時点で他の下位互換なわけだから。

「THE W」のことはどうでもいいけど、ゆりやんについては見かけるたびに不思議というか、「場違い」な感じを受けてしまう。ゆりやんが面白くないとか、吉本の養成所主席(主席ってなんだ)だからゴリ押しされてる、なんてことだけではこの違和感は説明できない。テレビの中にそんな例はいくらでもあるからだ。

ゆりやんって、実はお笑い以外に関しては優秀というか器用だ。短期間で太ったり痩せたりができるほど意志が強くてストイック、カラダも張れる、英語もできる。海外のステージにも堂々と出る度胸もある、頭の回転も悪くないし、常に貪欲に笑いを狙う。こう並べて美点を書くと提灯記事のようだけど、ゆりやんの場合最後に「でも絶望的につまらない」がついてしまう。

「できないのに堂々としてる人」は多いし、その場合はイラつくだけだ。でもゆりやんは「絶望的に向いてないとこで必死に努力してる人」だから見ていて痛々しいんだと思う。絶対もっと他に向いてる仕事あるだろ、と感じてしまう。吉本とかに大量にいるであろう「向いてないが芸人にしがみついてる人」は、普通なら人目に触れないで終わるんだけども。ゆりやんは事務所が推してるからずっと痛々しい感じをまき散らし続けている。

ゆりやんはつまらないが、強いて擁護するなら、時代に恵まれてないのもある。彼女は今の時代のテレビに求められる「平場トークが強い」タイプではなく、コントや企画などの「場」で役割を演じるほうが向いている「コメディアン(コメディエンヌ)」ってやつだから。コメディアンの代表格は故・志村けんだろうか。ナイナイ岡村もそっち系だと思う。二人とも普通にしゃべってても何も面白いことは言えない。

志村けんはドリフとして番組をやれていたし、岡村もめちゃイケという「場」をもらっていたから地位を築けたけど、ゆりやんの「場」は令和のテレビには少ない。突出したセンスがあればそれでもチャンスはあるけど、そうじゃないわけだから。20年くらい前だったら、事務所パワー込みでお茶の間の人気者になれたかもしれないが。

そういう意味では、ゆりやんは海外のほうがまだ可能性はあるのかもしれない。日本が特殊なだけで、アメリカなんかはまだコメディアンが活躍できるんだろうし。ただ心配なのは、吉本の心づもりはたぶんそうじゃないことだ。「コメディアンだから海外いかせたろ」じゃなくて、「渡辺直美がウケたんだからゆりやんもイケるやろ」って甘い目論見な気がしてならない。渡辺直美について書くと長いから省くが、アレはものすごく特殊なタイプだ。ゆりやんが踊ってみせたって色物として見られるだけで、人気は定着しないだろう。

彼女の強みは「努力家であり、強力な事務所のバックアップがある」ことなんだから、努力量が結果に反映するようなことをさせたほうがいいんじゃないだろうか。今回の「THE W」のネタは「エアハムスター(見えないハムスターとじゃれてみせる)」だったけど、パントマイムとしても下手だった。三年くらい一流どころに弟子入りして、パントマイムを極めたりすれば何か道が開けるのではないだろうか。マジックでもジャグリングでもいいんだけどさ。

ゆりやんに代表されるように吉本も旧ジャニーズと同じで、巨大になりすぎて売り方が下手、というか雑になってきていると思う。この雑さは「ウチなら力で何とでもできる」という慢心の表れだ。ネットの発達で情報統制がきかない今、「強者が慢心してやりたい放題→告発されて死ぬ」ケースは多い。いつか吉本が死んだらゆりやんは終わりだ。ぜひとも今のうちにパントマイムを習得すべきだと思う。

豊田真由子の社会貢献二刀流

元衆議院議員の豊田真由子、「『お前が言うな』は百も承知だが、愛がない」と宝塚歌劇団の悪質パワハラを批判。

「このハゲー!!」で議員の職を失ったことでおなじみの豊田氏。メディアで上記のようにコメントをしているけど、世間からの評価は真っ二つだ。「感じがよくなり、反省している」「頭脳明晰だから国政に戻ってほしい」「女性だから狙い撃たれたのでは」 という声の一方で「猫かぶってるだけ」「あんな人を議員に戻しちゃダメ」という意見もある。私は基本的に後者だ。

前者の主張もたしかに一理ある。ものすごく物腰は柔らかくなったし、経歴を見れば頭脳の優秀さは疑いのないところだ。男社会の永田町というか自民党での苦労もきっとあったんだろう。とはいえ、やっぱり「心を入れ替えたよね、じゃあ国政に戻ってね」にはならないと思ってしまう。

たぶんそれは、私があの問題になった罵倒音声を聞いているからだ。言い換えると、擁護派の人たちは聞いていないか、ワイドショーなどで切り取られた一部だけ(「このハゲー!」のとこ)しか知らない人が多いと思う。「このハゲー!!」はキャッチーだし、パワハラだけど「ネタ」にできる余地がある。実際、豊田氏もTVなどでハゲネタを振られて苦笑しつつ応じているわけだし。そこだけを聞けばたしかに「議員としてのストレスもあったろう、反省したしもういいじゃない」という意見もわかる。

でもなあ。音声を全部聞くととてもそんなことは言えない。「娘が車にひかれて頭グチャグチャになっても」「死ねば?生きてる価値がないだろ」「痴呆症だろ」など、とてもネタにできない暴言が並ぶうえに、「頭をたたく」「ミュージカル調に罵倒」「赤ちゃん言葉でも罵倒」と攻撃方法も多彩だ。議員と秘書という上下関係のなか、車という密室でこれをやるのはかなりヤバい奴だろう。

音声だとわかりやすいが、とにかく「罵倒が手慣れてる、舌になじんでる」印象も受ける。議員だからしゃべりが達者なのは差し引くとしても、つい頭にきてこの時だけ…ってのは無理がある。いつもやってたんだろうな、と思ってしまう。文字の書き起こしもあるが、音声も探せばネット上に転がっているから興味のある方はどうぞ。

また、「あのハゲ秘書が無能すぎた」「他事務所からのスパイで刺客だった」という擁護もある。これも確かにその通りなのかもしれない。でも、もともと秘書なんてその気になれば議員を「刺せる」ポジションだ。だから皆有能なだけじゃなく信頼できる人を秘書に据えたがるわけだが、豊田氏はそれができなかった。豊田氏の事務所は秘書がすぐやめることで有名だったと聞く。ほかの理由もあるんだろうけど、あの音声を聞けば彼女のパワハラ気質が一因なのは明らか。無能やスパイでも雇わなければならないのは、彼女自身が雇い主として無能だっただけ。同情しづらい。

おそらく豊田氏も、今は激しくキレたりはしないのだろう。「痛い目を見た」というのもあるけど、「国会議員という権力者じゃなくなった」「世間から厳しく見られている」というのが大きい。「弱い立場ならガマンできるんじゃん」ってことだ。

「お金があるうちは優しい人だったけど、貧しくなって変わった」なんてよくある話。環境によって悪い部分が露出するのは多かれ少なかれ誰にでもあるので、彼女の人格全部を否定するつもりはない。家庭内ではとても優しいママだとも聞く。ただくれぐれも人の上にだけは立たないようにしてほしいと願う。まあ、ご本人が非常に聡明だからそのあたりはよくわかってるだろうけど。次に似たようなことをすれば間違いなく社会的に死ぬわけだし。

とはいえあの頭脳と官僚→国会議員の経歴は惜しい。攻撃性だって良い方向に使えば社会の役に立つだろう。コメンテーターも悪くはないが、宝塚に関して「愛がない」なんてフワッとした批判をするなら彼女じゃなくても良い。ひろゆきの記事でも書いたけど、現役の政治家を討論でビシビシやり込めたりするのが一番その特性を活かせると思う。やってくれないかなあ。次点は「SM倶楽部まゆこ」だろうか。経歴や頭脳でも勝る女王様に罵られたい、という需要はたぶんあると思う。それも特性を活かした社会貢献と言えよう。論客と女王様の二刀流というのもカッコいい。豊田さんいかがでしょうか。