天下一武道館のロンダリング感

【「令和の虎」発のアイドルイベントが炎上。アイドルファンが苦言を呈する。】

「地下アイドルでも武道館に行ける」をテーマに、先日開催されたアイドルフェス「天下一武道館」。ガラガラの客席やホリエモンの歌唱シーンがネットに投稿されたことで「聖地を汚すな」「カネの力で無理やり武道館立って嬉しいか」などの批判が集まった。

私はアイドルオタクではないので、界隈の怒りは今一つわからないところもある。聖地ったって武道館はただの民間の貸しスペースだし、カネを出せばそりゃ借りられるだろう。アダルト系はNGとか基準はあるらしいけど、場所代が高くて規模が大きいだけでそんなに大層なものじゃないとは思う。お金持ちが内輪で学芸会をやったというだけの話で、それ以上でも以下でもない。ただ、このイベントが批判されたり嫌われたりするとすれば「ロンダリング感」だろう。

普通、「アイドルとして武道館に立つ」というのは物理的にそこに立つことを指すわけではない。「お金と時間をかけて自分を見に来てくれる、武道館じゃないと入りきれないくらいのファンがいる存在になる」という意味だ。しかし、この天下一武道館に出演したのはいわゆる地下アイドル。Youtubeの登録者数や再生回数も数百程度だったりして、お金を落とすファンは数十人レベル、なんてグループもいるだろう。しかしこのフェスで武道館の舞台でパフォーマンスができてしまったわけで(持ち時間5分らしいが)、以降「武道館アイドルです」と名乗れてしまう。

この「武道館アイドル」という名乗り。ウソは言ってないが、そこから生まれるイメージと実態は明らかに違う。学歴ロンダリングとして有名な「東大大学院卒です」みたいなものだ。この「嘘はつかずに都合の良いイメージをつくる」という小狡さは非常に嫌われる。「私は嘘はついてない、あなたが勝手に勘違いしただけでしょ」という逃げ道を最初から用意しているわけで、こういう卑怯さは世の中にたくさんある。古いものだと「消防署のほうから来ました」もあるが。

整形とか推薦入試とかもそうだろう。自己申告しないかぎり「生まれつきこの顔です」「一般で入る学力があります」という都合の良い誤解をばらまけるわけで、整形や推薦がうっすら嫌われる理由がここにある。注意しないと人を騙すことになるからだ。もちろん整形や推薦そのものが悪いわけでもないし、利用する人全員に「そういうつもり」があるわけではない。「会う人全部に整形を告白しろというのか」という反論もあろう。でもロンダリングのメリットを受けられる立場にはなってしまってるわけで、「李下に冠を正さず」の姿勢を忘れると知らずにヘイトを集めることにもなる。

とはいえ今回の出演者たちは皆地下アイドルで、使えるものは使わないと生き残れない立場。早速「武道館アイドルです」的な名乗りをしてるメンバーもいるし、それを見てさらに叩く人も出るだろう。このフェスに出たことで期せずして炎上系へのレールに乗ってしまった感じはあるが、それは各グループ大丈夫なのだろうか。今回参加したのは15組らしいが、3年後に果たして何組が生き残っているか注目したい。

豊田真由子の天使と悪魔

暴言問題で議員を辞め政治の世界から離れていた豊田真由子氏が、参政党から出馬。

「このハゲー!」でおなじみの豊田真由子氏、政治家には戻らないと思っていたがそうでもなかった。パワハラ音声で辞職に追い込まれた直後に辻立ちして再選を狙ったりしていたが、あれはメンタルが強いというより「私は悪くない」と思っていたからできたのだろう。そう考えると再起を狙うのも当然なのかもしれない。

まだ選挙の結果は出ていないが、比例第一位らしいので当選は確実だろう。そうなるとやはり心配されるのが「またパワハラすんじゃねえのか」ということ。「前回のことで懲りただろうし、彼女は優秀だからもうしないだろう」という声もあるが、果たしてそうだろうか。

たしかにいわゆる「頭がいい」人は失敗をしにくい、繰り返さないイメージがある。豊田氏も東大からハーバードの英才だ。考える力に優れている人は、自分以外と対峙したときは確かに失敗しにくいだろう。だが、パワハラは自分自身との対決になる。いわゆる「性(さが)」であり、性欲やら承認欲求やらと同じく本能から湧き上がってくるものと闘わなくてはならない。頭が良い人がこれらをやすやすと抑えられるんなら、痴漢や盗撮で人生台無しにするエリートはいないはずだが、実際にはいっぱいいる。

よくある漫画の表現で、葛藤したときに「自分の中の天使と悪魔が言い争う」というのがある。拾ったサイフを「届けなさいよ」と諭す天使と、「もらっちまえよ、バレねえよ」とそそのかす悪魔。善悪というより理性と欲望のぶつかり合いと考えると、理性の天使と欲望の悪魔ということになる。ここで問題なのは、頭の良い人なら天使=理性が勝つかというとそうではない点だ。つまりどっちも自分なわけで、豊田氏の場合悪魔側もハーバードレベルで誘惑してくるんだから。なんせ優秀な悪魔だから、「こうすりゃバレねえよ、な?」という悪知恵や、「エリートのお前にはその権利があるんだよ」なんてくすぐり方も心得てるだろう。優秀な自分自身だからこそ、そうそう簡単にはコントロールできないわけだ。

じゃあどうすれば良いのか。「自分VS自分」じゃ確実に勝つことはできない。となると答えはひとつで、自分以外の力を借りるしかない。むかしTVで見た話だが、ダイエットをしたい男が自分に懸賞金をかけた。「外食している自分を目撃したら賞金を出す」と。こうして周囲の目で見張ってもらうことで大好きな外食を抑えてダイエットに成功したそうだ。

これと同じように、豊田氏も議員になったら秘書だけじゃなく参政党のスタッフすべてにこう頼めばいい。「私と接するときは常に録音録画してくれ」と。さすがに前回の痛い目は覚えているだろうし、これならそう下手なことは言えない。ストレスは溜まるだろうが、それはもっと健全な方法で発散すればなんとかなるだろう。パワハラやいじめの本質はそこから得られる快感への中毒であり、クスリと同じだと思う。そう考えると「反省する」なんてヌルいことはほぼ意味がないので、こうやって監視してもらうのが一番だ。

とても優秀な人であるのは間違いないので、こういう「仕組み」を用いて本能を抑えてくれれば政治家としての活躍は望むところだ。でも豊田氏の悪魔はなかなか手ごわいと思う。このハゲ絶叫だけでなく、過去には園遊会でも問題を起こしているし、つい最近も参政党内で梅村氏にマジギレしたとか。選挙よりもこちらのほうが難しいとは思うが、健闘を祈る。ダメならブレーンポジションもあるし。

宮迫はカナリアになれるのか

【宮迫、自身の現状に不満を漏らす】

深夜ラジオにて、宮迫がファンからの「なぜTVに出ないのか」という質問に返すなかで、「俺が聞きたい、犯罪した人もTV出てるのになあ」と自身の現状に不満げな発言。

闇営業事件でTVから消え、YOUTUBEなどで迷走していた宮迫。干された理由については明白だと思う。「吉本に盾ついた(怒らせた)」からだ。宮迫は、リーダーをつとめた芸人ユニット「吉本印天然素材」を見れば一目瞭然だが、吉本が当時さかんに売り出していた芸人風タレントの一人であって、特に面白いわけではない。ちなみに「天然素材」のほかのメンツはナイナイやFUJIWARA、あとチュッパチャプス(宮川大輔とほっしゃん。のコンビ)。いずれも舞台の上で単独で笑いをとれるわけではなく、バラエティのパーツとしてはじめて機能する人たちだ(唯一FUJIWARAの原西だけはいけそうだが)。

つまり宮迫は面白い人気芸人というより単なる「吉本の手ゴマ」タレント。なのに闇営業がらみでウソついたりして会社を怒らせたんだから、そりゃダメだろう。吉本が怒ったらTVから締め出されるというのもどうかと思うが、吉本のゲタを履かないとさほど需要がないのも事実。一番宮迫が輝いてたのは吉本の内輪芸・団体芸(吉本芸人どうしのなれ合い)してる時だったしなあ。

ここまで宮迫を悪く書いたけど、手ゴマといってもすごく使い勝手の良いコマだったのも確かだと思う。バラエティは無難にこなせるし、司会も一応できる。歌も歌えて演技もできるし、声優も上手かった。タレントとしての欠点は「イジられるのをイヤがる」くらいだ。器用貧乏なので単独でYOUTUBE等で戦うのは難しいが、「がんサバイバー」というレアな属性も持ってるし、吉本に従順ならいくらでも仕事あったろうに。自分の立ち位置を知ることがいかに大事かを教えてくれる。

ちなみに宮迫が冒頭で言った「犯罪した人」は当てはまる人がたくさんいるが、個人的には同じ吉本の兼近や徳井あたりが比較対象としてわかりやすいと思う。兼近の窃盗や売春あっせん、徳井の巨額の申告漏れ(犯罪ではないがギリギリ)に比べれば宮迫の闇営業は軽いように見える。また、タレントとしての力量にそれほど差があるようには思えない。けっきょく「吉本様に従順かどうか」が分かれ目なのは明らかだが、宮迫はわかっていないのだろうか。わかっていないから逆らったんだろうけど。

前述したように、吉本の気分でTV全体に出られないというのはたしかに健全ではない。今後いつか宮迫がTVの中心に戻ってきたとしたら、それは業界の体質がいくぶんか改善された印と考えていいだろう。毒ガス検知のカナリアみたいなものだ。まあ、そもそも単なる力不足で戻れない可能性のほうが高いので、カナリアとしてはのん(能年玲奈)のほうがはるかに適任な気もするが。